プロローグ

2/2
47人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
 目の前には明らかに我々と異なる技術(テクノロジー)で造られた人型の機体が埋もれていた。周辺地質の簡易測定ではこの機体の墜落は約3万年前と推測された。 「……これは、未知の文明の……?」  近づくと腹部部分のハッチが開いている。その中には二つの宇宙服が見える。宇宙服のサイズは我々と同じだ。私はハッチに近づき中を覗いた。中は一人乗りのコックピットの様だ。宇宙服の一人はシートに座っており、もう一人は横のスペースに居る。  シートに座った宇宙服のバイザーの中には骨と皮だけになった男性の死体が見える。それを理解した私は3万年の時間の経過を感じていた。  その時、頭の中に、突然『声』が響いてきた。 「……私からあなたへ……」  その声はもう一つの宇宙服から響いて来る様に感じる。私はもう一つの宇宙服のバイザーを覗き込んだ。   「これは……? まさか……女性が……?」  そこには若い女性の顔が見える。彼女の肌は3万年の時間を感じられない 「眠っているみたいだな……本当に綺麗だ……」  その女性の両耳のイヤリングがMMUのライトに照らされ蒼く輝く。  彼女のその顔に見惚れていると、突然、その女性の瞳が大きく見開かれた。  驚いてコックピットから外に飛び出す。その瞬間、頭の中に声が聴こえて来た。 「……私からあなたへ……私を……」  その声に振り返るとバイザー開けた彼女が私を見て微笑んだ。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!