47人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
目の前には明らかに我々と異なる技術で造られた人型の機体が埋もれていた。周辺地質の簡易測定ではこの機体の墜落は約3万年前と推測された。
「……これは、未知の文明の……?」
近づくと腹部部分のハッチが開いている。その中には二つの宇宙服が見える。宇宙服のサイズは我々と同じだ。私はハッチに近づき中を覗いた。中は一人乗りのコックピットの様だ。宇宙服の一人はシートに座っており、もう一人は横のスペースに居る。
シートに座った宇宙服のバイザーの中には骨と皮だけになった男性の死体が見える。それを理解した私は3万年の時間の経過を感じていた。
その時、頭の中に、突然『声』が響いてきた。
「……私からあなたへ……」
その声はもう一つの宇宙服から響いて来る様に感じる。私はもう一つの宇宙服のバイザーを覗き込んだ。
「これは……? まさか……女性が……?」
そこには若い女性の顔が見える。彼女の肌は3万年の時間を感じられない
「眠っているみたいだな……本当に綺麗だ……」
その女性の両耳のイヤリングがMMUのライトに照らされ蒼く輝く。
彼女のその顔に見惚れていると、突然、その女性の瞳が大きく見開かれた。
驚いてコックピットから外に飛び出す。その瞬間、頭の中に声が聴こえて来た。
「……私からあなたへ……私を……」
その声に振り返るとバイザー開けた彼女が私を見て微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!