おむすびが狙われています

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 その日は冬にしては暖かい日差しが降り注いでいた。  いやあ、いい天気だなあ、と思いながら、汐音(しおん)は自分で握ってきたおむすびを食べようとしていた。  派遣社員として新しい会社に入ったばかりで、まだまだ緊張する。  お昼休みくらいホッとしたいと会社近くの公園で、ひとり弁当を広げていた。  みんな日焼けを気にしてか、木陰のベンチが人気のようで、日が燦々(さんさん)と照りつけるそのベンチは空いていて、ひとり、ゆったり座れた。  あー、風も程よく冷たくていい気持ち、と思いながら、汐音はおむすびを手にとった。  いっただきまー……  おむすびを口に入れようとしたその瞬間、汐音は気づいた。  射るような目で自分を見ている男が居ることに。  スナイパー!?  敵っ? と思わず、思ってしまったが、なんの敵だか、よくわからない。
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