俺も誘惑してくれ

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 次の日の朝、汐音が各部署への配布物を配って歩いていると、向こうから渡真利がやってきた。 「お疲れ様です~」  いつもの渡り廊下。  人目が少ないからか、渡真利は、 「お疲れ様。  ……汐音」 と名前で呼んできた。 「なんですか?」 「大体のことはわかったし、お前、そろそろ引き上げるか」 と渡真利は言い出す。 「えっ? なんでですかっ?」 と汐音は思わず声を上げてしまっていた。  此処での生活が結構楽しかったからだ。  それに、此処を離れるということは、求と離れるということでもある。  いや、仕事なので、そんなことを考えていてはいけないのだが……。
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