天才博士 パオ・ローライズ

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天才博士 パオ・ローライズ

あのなぁ~ ワシ博士なんや。 パオ・ローライズ♂50歳や。 みんなはワシの事をなぁ~ ローライズの申し子 天才パオ博士って呼んでくれとんや。 ほんでワシなぁ~ メカ専門の博士でなぁ、メカ的な物やったらだいたいなんでも作れるんや。 多分キテレツよりレベル高いで。 ほんでもなぁ~ ワシが作ったロボがなぁ~ 地球を征服しようと目論んどんや。 我ながら自分の天才ぶりを恨んだわぁ。 めっちゃ強いロボ作ってしもたんや。 思い出したくもない2年前になぁ、交通事故で死んだ少女がおったんや。 ダンプにまともに引かれたんや。 ほんで少女の親がワシんとこ来てなぁ、「この子ロボにしてくれやぁ!」ってワシに涙ながらにお願いしてきたんや。 少女の親なぁ、必死やったわ。 しゃーないけんなぁ、ワシ少女ロボ作る事にしたんや。 ほんでもなぁ~ ダンプに引かれただけあってなぁ、原型とどめてないんや。 顔やぐちゃぐちゃで訳分からん事になっとるしなぁ、左手がちぎれて無いんや。 普通の博士やったらなぁ、心折れるで。 ほんでもワシ天才博士って呼ばれとるけんなぁ、少女の親がくれた、少女の写真を見ながら改造手術を開始したんや。 ほんでなぁ~ 顔どーしよか思てなぁ、悩みに悩んだ結果めんどくさいけんマネキンの顔つけたんや。 ほんで問題は左手や。 もぉ悩んだわ。 代わりになる手ぇがなかったんや。 しゃーないけんなぁ、ホームセンターでチェーンソー買ってなぁ、少女の左手につけたんや。 少女の手ぇにチェーンソーつけるんが一番苦労したわ。 めちゃくちゃテクったで。 めっちゃっ ボンドとかつこて研究室ん中がシンナー臭くなったけどなぁ。 3日ぐらい少女ロボ作りに没頭したらなぁ~ 完成したんや。 我ながら自分が天才や思たわ。 ほんで少女の親に「でけた」って電話したらなぁ、少女の親がタクシーに乗って研究所に来たんや。 ほんで少女の親がなぁ 少女ロボ見てなぁ 「誰やこれ?」 って言うたんや。 ワシなぁ、まぁまぁ自信作やったけんムカついてなぁ。 少女の親に言うてやったんや。 「誰や言うて これお前の娘じゃ!見て分からんのかあぁ!」 「分かるかああぁ!全然顔違うやん!なんやこの手ぇー?何で手ぇがノコギリになっとんやあぁ!なめとんかお前ぇ!」 「しゃーないやろがあぁ!それしかなかったんやあぁ!」 「しゃーなくないわあぁぁ!もっと女子っぽい手ぇあるやろがあぁ!ほんでこの無表情の顔なんや?全然面影ないわあぁ!」 「お前無茶苦茶言うなよコラあぁ!手ぇにチェーンソーつけるんが一番苦労しとんやあぁぁ! もぉしゃーないわぁ~ ズゲベン!親父にチェーンソーが動くとこ見してやれやぁ!」 「えっ?ちょっと待てやお前ぇ! 今ワシの娘にズゲベン言うたんか?」 「そや」 「ボケかお前ぇ!変な名前つけんなやあぁ! この子は理花やぁあぁぁ!」 「最初に言うとけやぁボケがあぁぁ! もぉズゲベンでインプットしとるけんなぁ、今さら理花言うてもこの子振り向かんでえぇ!」 その時や…… ズゲベンがワシの師事通り動き出したんや! ギィ~ガシャン! ギィ~ガシャン! ブォ~~ン! バリバリバリバリバリ── ズゲベンなぁ~ チェーンソーのスターターロープを力強く引っ張ってなぁ、チェーンソーのエンジンかけたんや。 見た目は完全に女子中学生やけどなぁ、やっぱりマネキン顔とチェーンソーでロボバレバレなんやぁ~ ほんでズゲベンが ギィ~ガシャンってワシの方に向いてなぁ~ 「タバコくれ」って言うたんや! ワシなぁ~ 震える手でタバコ1本あげたんや。 ズゲベンなぁ…… タバコを口にくわえようとするんやけどなぁ、くわえれんのや…… そら顔マネキンやきん無理やで…… それ見てなぁ~ ワシも ズゲベンの親も 切ない気持ちになったんや。 左手がチェーンソーになっとんのになぁ、まだ自分が人間や思とんかもしれんわ。 ほんま 切ないでえぇ。 ワシがこれだけ切ないんやきんなぁ、親やもっと切ないでえぇ。
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