3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
天才博士 パオ・ローライズ
あのなぁ~
ワシ博士なんや。
パオ・ローライズ♂50歳や。
みんなはワシの事をなぁ~
ローライズの申し子 天才パオ博士って呼んでくれとんや。
ほんでワシなぁ~
メカ専門の博士でなぁ、メカ的な物やったらだいたいなんでも作れるんや。
多分キテレツよりレベル高いで。
ほんでもなぁ~
ワシが作ったロボがなぁ~
地球を征服しようと目論んどんや。
我ながら自分の天才ぶりを恨んだわぁ。
めっちゃ強いロボ作ってしもたんや。
思い出したくもない2年前になぁ、交通事故で死んだ少女がおったんや。
ダンプにまともに引かれたんや。
ほんで少女の親がワシんとこ来てなぁ、「この子ロボにしてくれやぁ!」ってワシに涙ながらにお願いしてきたんや。
少女の親なぁ、必死やったわ。
しゃーないけんなぁ、ワシ少女ロボ作る事にしたんや。
ほんでもなぁ~
ダンプに引かれただけあってなぁ、原型とどめてないんや。
顔やぐちゃぐちゃで訳分からん事になっとるしなぁ、左手がちぎれて無いんや。
普通の博士やったらなぁ、心折れるで。
ほんでもワシ天才博士って呼ばれとるけんなぁ、少女の親がくれた、少女の写真を見ながら改造手術を開始したんや。
ほんでなぁ~
顔どーしよか思てなぁ、悩みに悩んだ結果めんどくさいけんマネキンの顔つけたんや。
ほんで問題は左手や。
もぉ悩んだわ。
代わりになる手ぇがなかったんや。
しゃーないけんなぁ、ホームセンターでチェーンソー買ってなぁ、少女の左手につけたんや。
少女の手ぇにチェーンソーつけるんが一番苦労したわ。
めちゃくちゃテクったで。
めっちゃっ ボンドとかつこて研究室ん中がシンナー臭くなったけどなぁ。
3日ぐらい少女ロボ作りに没頭したらなぁ~
完成したんや。
我ながら自分が天才や思たわ。
ほんで少女の親に「でけた」って電話したらなぁ、少女の親がタクシーに乗って研究所に来たんや。
ほんで少女の親がなぁ
少女ロボ見てなぁ
「誰やこれ?」
って言うたんや。
ワシなぁ、まぁまぁ自信作やったけんムカついてなぁ。
少女の親に言うてやったんや。
「誰や言うて これお前の娘じゃ!見て分からんのかあぁ!」
「分かるかああぁ!全然顔違うやん!なんやこの手ぇー?何で手ぇがノコギリになっとんやあぁ!なめとんかお前ぇ!」
「しゃーないやろがあぁ!それしかなかったんやあぁ!」
「しゃーなくないわあぁぁ!もっと女子っぽい手ぇあるやろがあぁ!ほんでこの無表情の顔なんや?全然面影ないわあぁ!」
「お前無茶苦茶言うなよコラあぁ!手ぇにチェーンソーつけるんが一番苦労しとんやあぁぁ! もぉしゃーないわぁ~ ズゲベン!親父にチェーンソーが動くとこ見してやれやぁ!」
「えっ?ちょっと待てやお前ぇ! 今ワシの娘にズゲベン言うたんか?」
「そや」
「ボケかお前ぇ!変な名前つけんなやあぁ!
この子は理花やぁあぁぁ!」
「最初に言うとけやぁボケがあぁぁ!
もぉズゲベンでインプットしとるけんなぁ、今さら理花言うてもこの子振り向かんでえぇ!」
その時や……
ズゲベンがワシの師事通り動き出したんや!
ギィ~ガシャン! ギィ~ガシャン!
ブォ~~ン! バリバリバリバリバリ──
ズゲベンなぁ~
チェーンソーのスターターロープを力強く引っ張ってなぁ、チェーンソーのエンジンかけたんや。
見た目は完全に女子中学生やけどなぁ、やっぱりマネキン顔とチェーンソーでロボバレバレなんやぁ~
ほんでズゲベンが ギィ~ガシャンってワシの方に向いてなぁ~
「タバコくれ」って言うたんや!
ワシなぁ~
震える手でタバコ1本あげたんや。
ズゲベンなぁ……
タバコを口にくわえようとするんやけどなぁ、くわえれんのや……
そら顔マネキンやきん無理やで……
それ見てなぁ~
ワシも ズゲベンの親も 切ない気持ちになったんや。
左手がチェーンソーになっとんのになぁ、まだ自分が人間や思とんかもしれんわ。
ほんま 切ないでえぇ。
ワシがこれだけ切ないんやきんなぁ、親やもっと切ないでえぇ。
最初のコメントを投稿しよう!