6人が本棚に入れています
本棚に追加
エピローグ
「今日がバイト休みで本当に良かった」
春香とアカナメを見送ったあとスマホの時計を確認してほっとため息が出た、明日のバイトの時間まで二六時間以上ある、洗濯やら掃除をしてても余裕だろう、コインランドリーも近所にあったし。
洗濯物を袋に詰めて別の服を入れてスイッチを押す、あと二、三回くらいはかかるな、押し入れの中の更にクリアケースに入っていたのに何となく臭う、梅雨の部屋干しで生乾きみたいな臭いだ、耐えられないほどではないけどバイトのユニフォームもあるし、ついでだから全部洗おう。
「布団洗いって出来るかなぁ?」
毛布やタオルケットはともかく、さすがに家の洗濯機だと布団は洗えない、せめて敷布団だけでも今日中に洗濯乾燥しておきたかったのでコインランドリーの大型洗濯機の『洗えるもの』表示を確認していた
♪〜
入店のチャイムがなって客が入ってきた、前髪がパッツンと揃えられた黒髪ショートボブの女の人は俺を見ると眉をしかめた。
はい分かってます、何か臭いんですよね
乾燥時間は36分、その間コインランドリーの中で乾燥を待ってる訳にはいかないか、初対面の女の人にもあんな顔されるなんてショックが大きすぎる。
部屋に戻って次の洗濯物をピストン輸送で運ばないと、先に敷布団だけ持ってくか
「買い替えた方が早いかな、布団て何ゴミだっけ?」
この布団は大学に入って一人暮らしを始めるときに服その他と一緒に配達してもらった物だ「布団ってそもそも何処に売ってんだろ?」そんな事を考えながらぐるぐる巻きにした布団を持ってコインランドリーに着くとさっきの女の人はまだ店内に居て、やはり睨むような視線を送ってきた。
『だいたい俺のせいじゃ無いってのに何でこんな目に会わなきゃいかんのだ?』
残り乾燥時間は10分あったがいたたまれなくなって店を出た、一回戻ってまだ居たらどうしょう?色々あってメンタルぼろぼろだ、敷布団はともかく掛け布団はもう捨てよう、コインランドリーを往復しながら不毛な休日を嘆いていた…。
『あ、まだ居た』
失敗した〜もう少しゆっくり来れば会わなかったのに
丁度、洗濯物を袋に詰めて終わったところのようだ、コソコソと空いている乾燥機に洗濯物を詰めているとケツを掴まれた…ガシッ!と…
「え?」
振り向くと前髪ぱっつんの女の人だ
「何だ、やっぱり人間か」
「え?」
それだけ言ってさっさと出ていってしまった。
「え?」
『仮面の忍者アカナメ』 完
「え?」
最初のコメントを投稿しよう!