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陰キャの後輩
ガチャリとドアを開け入って来たのは、見た目は女子中学生の後輩桜井春香だった。
「先輩カギかけて無いんですか、不用心ですよ…きゃあ!」
「ち、違うんだ…これは」
桜井春香の目に飛び込んできたのは裸エプロン姿の女の子に押し倒されるパンツ1丁の(男の)先輩だった。
「そ、そんな事ばかりしてるから元気が無かったんですねっ!」
「違う!誤解だ!コイツは…」
『妖怪アカナメだ!』って言っても信じるはずがない、見た目は完全に裸エプロンの女の子だしそもそも妖怪なんて…
「私は彼のカノジョよ?後輩ちゃんはさっさと出ていってくれない?」
「ちょっ、お前何言って、違う、違うんだ!」
このままでは何か誤解されたまま授業で顔を合わせる事になる、何かイロイロまずい、といっても裸エプロンのアカナメが抱きついて身動きが取れない、しかし春香はイタズラか成功した子どもの様に笑って言った。
「なーんてね先輩、私が来たからにはもう安心ですよ」
「え?」
「人鬼一体!!」
そう叫んだ桜井春香は玄関先に置いたカバンからゴソゴソ手袋を取り出し両手に着けた。
「照魔鏡の印」
そう叫んだ桜井は突き出したチョキの右手の甲に握った左手を重ねた!
それ、右手はチョキで〜左手はぐ〜で〜♪だろ?
しかしその途端、アカナメが引き剥がされその体が赤く染まった。
「きゃああ、何するのよ?化けの皮が剥がれちゃったじゃないの!」
「そうよ、照魔鏡の印は妖怪の本当の姿を見破ることが出来る破邪の法なのよ」
え?色が変わっただけですよね、あ、耳ちょっととんがってる、え?
「あなた、まさか監視対象の…」
「そう!私こそ将軍吉宗公の命を受けた安倍晴明の正当血脈、妖怪相手の御庭番、第十七代頭首(予定)の華御門春香」
右手のチョキをそのままVサインにして名乗りを上げたが、中学生が悪ノリしている様にしか見えない。
「昼間先輩のニオイを嗅いだときからクサイと思ってたのよ!いろんな意味で!」
ほっとけ…。
「この姿を見られたからには恥ずかしい目に会ってもらうよ、超舌技巧を味あわせてやる!」
ぬらぬらと光るアカナメの舌が伸びる、まずい触手系エロは過激表現に抵触する、そもそも作者が表現出来ない。
「ドーマンセーマン!」
謎の呪文と共に春香のVサインは空中に輝くひと筆書きの星を二重に描いた「陰陽術!?」妖怪忍者アカナメはとっさに身構える。
「マジか?」
ピュッ!
何処から取り出したのか、春香の左手には水鉄砲が握られ、発射された液体はアカナメの舌に命中した。
「か、から〜い!」
アカナメは口を抑え裸エプロン姿で悶絶している『結構カワイイな、いかんいかん相手は妖怪だ』
「タバスコ入り水鉄砲よ」
やはり中学生が悪ノリしてる様にしか見えない。
「アカナメ!人間に危害を加えることは禁止されてるはずよ!」
「わ、分かったもうしないから…み、水ちょうだい」
「辛いのに水は逆効果よ、ミルクをあげるわ」
涙目のアカナメは春香から手渡された1Lパックのミルクを全開に開けて舌を浸した。
「ごめんね、最近美味しい風呂アカが全然無くて…つい」そう言って牛乳パックを持った裸エプロンの女の子は部屋のすみにうずくまった、何だこの絵面?
「助かった…のか?」
ホッとして玄関に居る春香を見るとガクリとへたり込んでいた「春香!大丈夫か?」妖力をつかいきったとかそんな感じか?慌てて起き上がり近づこうとすると鋭い目線で睨まれた。
「先輩のせいだ…」
え?俺のせい?何が?
「大学生になったら陰キャ脱却って思ってたのに」そう言って春香は突然泣き出した、あれだけウザがらみしてたこいつが「陰キャ?」
「高校生の時にも陰陽師キャラだって言われてたから妖力を封印したのにー!」
「陰キャってそーゆー事じゃない」
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