番外編 シンデレラと王子の、ハッピーアニバーサリー

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──考えが行き詰まってしまったこともあり、再び三枝に相談を持ちかけた。 「……なぁ、彼女に記念日のお祝いをしてやりたいんだが、おまえは何をしてあげたらいいと思う?」 隣り合わせて座ったバーカウンターで、オーダーしたジンに口を付けて訊くと、 「はぁ?」と、聞き返された。 「はぁ? って、何だよ?」と、()(ぜん)として口にする。 「いや、悪いな。記念日を祝いたいだなんて、以前のおまえなら考えられなかったのにと思ってな。……それで、何の記念日なんだよ?」 三枝が口に手をあてて笑いをこらえた風で言う。 「……笑ってるようなヤツには言わねぇ。少しは真剣に聞いてくれよ。俺はマジなんだって」 「ああ、わかってるって。気分を悪くさせたんなら、ごめん。だがな……そうやって恋に本気で悩んでるおまえは、相変わらず、可愛いなと」 くくっと笑って言われ、途端にボッと顔が赤らんだ。
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