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「……この摩天楼からの眺めも、いい加減見飽きたな」
自社ビルの高層階から眺める、社長室からの景色も当初は下界を制覇したようにも感じられはしたが、最近ではあまり面白味のないものにも思えてきていた。
「……つまらない。仕事も軌道に乗ってしまえば、始めたばかりの頃の、いつどうなるのかもわからないような、あのヒリヒリとする緊張感もない……」
メインストーリート伝いのガラス張りの壁面から見下ろす、暮れ始めた街の夕景に、ふーっとため息が漏れ出す。
「くだらない」
吐き捨てるように独り言を呟くと、
「一条社長、今夜はこれから経営コンサルタントの方との会食の予定ですので、そろそろ御支度をお願いします」
ノックの音とともに秘書が社長室へと入って来て、そう告げた──。
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