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エピローグ
その後、私は警察署に連行されたが、一年前の裁判記録を照合された結果、すぐに釈放された。
――202x年、ストーカー規制法をはじめとした各種法律と刑法が改正され、相手方が判決を守らない場合には、訴えた側に正当防衛として、毒殺が認められることとなり、そのための毒薬も国から渡されることになった。但し毒薬を別の目的で使用した場合、殺人罪に問われることになる。
結婚披露宴が行われた日は、ちょうど判決から1年経った日だった。
そして、めちゃめちゃにされた結婚披露宴からすぐ、旦那と新しい生活が始まった、のだが……
「今夜は遅くなりそうだからレトルトでいい?」
「あ、ああ……、ミサキの好きにしていいよ」
私をリードしてくれて、時にはワガママを言っていたはずの旦那は、すっかり私の言いなりになってしまい、理想とはかけ離れた結婚生活になってしまった。
合法化されたとは言っても、目の前で人を殺す姿を見れば、そうもなるかな。
それにしても、とは思う。
本当に、この方法しか無かったのか、と。
人を殺めてしまった後悔が無いわけじゃない。タカシを何とか納得させられなかったのか。一度は愛した相手だ。自分で殺しておきながら情がわくとは、我ながら勝手だなとは思うけれど。
そんなことを思いながら外に出ると、世界はいつもと変わらず動いている。
少なくとも、私にはそう見えた。
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