超能力短編集

第一話『腹』

　ある春の昼下がり。
今日もなんでもない日が始まった。普通に仕事をして、定時で帰る。電車に乗ってゆらゆらゆれるそんな毎日。

代り映えのないそんな毎日で、最近起きたことといえば、彼氏と別れたことくらい。

大学時代から１０年も付き合っていた彼と些細なケンカで別れてしまった。

お互いプライドが邪魔をして、謝れないでいる。勢いで別れてしまってかなり後悔。そして反省。このままずるずると謝れないでいたら、この先どうなってしまうのか。私ももう３２歳。正直若くない。

そんなことを思いながら、今日も電車に揺られ、勤務先の最寄り駅につく。

なんだかお腹の調子が悪い。食べ過ぎたかな、

いつもと違う私のお腹。なんだか体も少しだるい気がする。気持ちが弱るといろいろなところが気になるってよく言うからな…。などと思いながら、いつもより少し重い体を引きづって、会社へのいつもの道を歩く。
なんだが段々、痛みがひどくなってきた。

「いたっ」
思わず声が出てしまう。少し休めばよくなるかな。会社近くの公園にさしかかっていたので、公園に入って、ベンチに座ってみる。