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始まりはとある高い場所で
~どこかのビル~
ここは自殺が絶えないとあるビル。
自殺が絶えないということで、弱者救済や霊媒の事業は一時立ち上がったが、自殺の念があまりにも強いので下手な霊媒事業は足早に撤退し、弱者救済事業はポルターガイスト被害に屈してしまった。
こんなビル、更地にしてやんよ!!という解体事業も謎の被害が続出し、最終的には何者もよりつかなくなった。
そんなビルに一人の自殺希望者がやってきました。
「も、もう限界だ…ぼ、僕は逃げる!!」
「逃げるって、人の生からかい?」
「だ、誰だ!?」
「ああ、悪い悪い。せっかくの限度からのジャンプに冷水をかけてしまったわ。」
一人の自殺希望者に誰かが語りかける。
この人は人間でも幽霊でもない、ただの通り神です。
ここの世界の神様はまだ救える所でまだ頑張っている所で、通り神の「なんか使えそうな奴居ない?」という希望に対し、だったら自殺の名所の雑居ビルの適当な霊でも使ってくれと言ったそうな。
「誰だお前は!!質問に答えろ!!」
「質問に答えたら、そのまま家に帰るかい?」
「僕は…家に帰らない!!」
「あんまり、この下のアスファルトに赤い物を撒き散らさないでくれよ。」
「…掃除会社の人?」
「違うよ。」
「じゃあ、あんたは誰なんだ!?僕の自殺の邪魔をして楽しいのか!?」
「ふむふむ…。」
自殺者は準備万端で屋上の手摺を超えて、ご丁寧に靴を揃えている。
そんな自殺者の横に通り神は手摺の上に乗っている。
「…何をしている?」
「お前の個人情報を見ている。」
「個人情報!?プ、プライバシーの侵害だぞ!?」
「これから死ぬ奴が何をぬかすか、絶望状態の社会弱者が。」
「う…煩い!!お前なんかに何がわかる!?」
「何も分からないけど?まあ、あいつなら必死に引き留めようとはするけど。」
社会弱者って、こういう時に声が大きくなったり態度が変わりますよね。
何故、普段からこう出さないのでしょうか?
答えは簡単、重みや圧力で押さえつけられてるからです。
逆に押さえつけられてなかったら、こうなります。
「あいつって誰だ!?」
「八百万の神。」
「八百万の神…!?神様がこの世に居るのかよ!?」
「信じる人には見えるんじゃない?一般的には逆が多いけど。」
「もう…どっか言ってくれよ…僕はもう嫌なんだ…。」
「嫌と言ったら?」
「追い返してやる!!」
「普段からそういう風に返せれば良いのに。」
「で…出来るはずがないだろう!?」
報復とか恐れて弱者は強者の暇潰しで消されてしまう宿命です。
これは歳を取っても未来永劫に変わりません。
逆に歳を取れば取るほどに本能的になり、強者の暇潰しは激しくなります。
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