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それから数日後、ボコボコに殴られて青アザだらけの男の子がやたら急いで上がってきました。
「こんばんは、自殺希望者かな?」
「ひぃ!?また居る!?」
「また…ってことは、君か。」
「た…助けてくれ!!謂れのない濡れ衣を着させられてるんだ!!」
ドタドタと何人か上がってくる音が聞こえる、そして屋上まで上がってきた。
「見つけたぜ…さあ、あいつらを返してもらおうか?」
「し、知らない!!僕はあいつらなんて知らない!!」
「嘘つくな!!あいつらがここに来たのは知ってんだよ!!」
「ぼ…僕が知ってるのは、この人が異世界に連れていっちゃったことだよ!!」
おやおや、さらっと矛先をこっちに向けられたね。
威張り役がこっちを睨んでくる。
「異世界だぁ?そんなもんはねぇよ!!」
「普通はね。」
「ああん!?てめえ、何喋ってやがんだ!?」
「お前、あいつらを知ってるのか?」
「知ってるよ、あの三人組はここまで来て…そして異世界へと旅立った。今頃は満喫しているんじゃないかな?」
まあ、何処に送ったのは言わないけど。
少なくとも、がらの悪い奴にふさわしい場所としか言えない。
「ふむ…嘘はついてないようだな。」
「嘘も何も…異世界への門はここにはあるよ。」
「親分、どうしやす?」
「野郎共を集めろ、集まり次第迎えにいく。」
「あわわ…異世界ってそんなにヤバいの?」
「場所によるね。」
それから数十分後…。
屋上は野郎共で溢れかえった。
「さあ、異世界とやらに送ってもらおうか?」
「良いよ、でも…。」
「なんだ?」
「一度に送れる数に限界がある。」
「それは何人だ?」
「五人まで、送り出すメンバーは決まっているなら五人を集めてくれ。」
野郎共はざわざわと集まってはがやがやと騒ぎ、五人ずつ集まった。
「集めたぞ。」
「では、五人ずつ送らせてもらいます。」
「行ってきやす!!」
「うし、行くぜ!!」
「まさか異世界があるなんてな…。」
「親分、後で合流しましょう!!」
「俺達で最後だな。」
「では、行きます!!」
野郎共を五人ずつ送った。
青アザだらけの男の子は異世界送りについてガクブルしている。
「あの…。」
「なんだい?」
「僕が送り込まれる所って「いかにもならず者が集まる所じゃないから安心してよ。」…ほっ…。」
こんな青アザだらけが、がらの悪い所に送り込んだら一瞬で消えちゃうよ。
送り込むんなら、始まりの場所へと送り込むわ。
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