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Ⅰ
どこにでもあるような田舎の港街に生まれ、どこにでも居るような不良青年に育った俺は、今時珍しくもないマフィアからの仕事を請け負い、そこいらに居るような在り来たりの殺し屋、まぁ俺達の言うところの掃除屋になっていた。そんな俺は今、豪華クルーズ船の船上でゴミやら塵やら埃やらを相手に格闘している。
俺のような胡散臭さい人物が、なにゆえ豪華クルーズ船なんぞで掃除なんて似合わない仕事をしているかというと、目下俺の仕事は、ある国の経済を牛耳る大財閥を率い、政界をも手中に収める大物(要するに悪党だ)の一人娘をボディガードすることだからである。
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