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 プロフェッショナルである俺の仕事は常に完璧である。今までしくじったことなど一度たりとてないのである。その信頼があってこそ、今回の仕事を請け負えたと言っても過言ではない。当然、仕事を終えたとき、長年世話になった組織を裏切ることになる。が、そこも抜かりはない。  掃除屋として有終の美を飾った暁には、俺は自分自身の痕跡さえも綺麗さっぱり掃除し、裏社会からおさらばする算段なのだ。そして闇社会には、俺の華々しい記憶だけが残るという寸法だ。  伝説となる手筈は既に整っている。ターゲットを事故に見せかけ始末し、俺は別人として生きる。それで全ては終わるのである。完璧に。
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