修学旅行の計画

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修学旅行の計画

小学六年の修学旅行先は、東京に決まった。 一日目は国会議事堂や博物館をクラスでまわる。 二日目は、男女六人ほどのグループを作っての自由行動だ。 昼休み、自由行動の場所を決めることになった。 「どこ行く?」 「浅草か?」 「やっぱりミミックワールドじゃない?」 みんなで鼻先をくっつけあうようにして相談する。 「わたし、銀座に行きたい」 と言い出したのは、詠美だ。 「いいねえ、銀座。デパート巡りして、カフェに行こうよ」 加代はすぐに賛成した。 加代は銀座になど行ったことがない。 テレビで見たおしゃれなイメージがあるだけだ。 「わたし、実は、銀座で探したいものがあるんだ……」 詠美は、声をひそめて言った。 毎月、ティーン向けファッション誌を熟読する詠美が欲しいものだ。 きっと素敵なものなのだろう。 「なに? なに?」 加代が尋ねると、たっぷりと間をおいて、詠美は言う。 「探している香水があるの」 「香水!」 なんて大人っぽい響きだろう。 加代の母親だって、知り合いのおばちゃんだって、使ってない。 だが、他のメンバーの答えは冷めたものだ。 「銀座なんてつまんなそう」 「ふたりで行けば?」 「じゃあ別行動する?」 先生にはミミックワールドと書いて提出した。
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