0人が本棚に入れています
本棚に追加
ダンジョンの掃除が俺の仕事だ。
魔王様は綺麗好き。勇者たちが放置したゴミで汚くなることを嫌っている。
今日の掃除場所は、ダンジョン入り口。玄関は家の顔という。ダンジョン入り口はダンジョンそのものを表す部分というわけだ。コウモリの糞ひとつも許されない。
俺は羽を広げて、ダンジョンの入り口まで飛んできて驚いた。
「勇者一行の奴ら、棺桶を引きずったな。床が傷ついてやがる」
入り口を張っている下級魔物に倒されたやつがいるのだろう。棺桶に入ってしまった仲間――忌々しい言葉だが――それを近くの村の協会に持って行き、復活させに引き返したようだ。
「まったく、棺桶は引きずらない、持って運ぶように」
俺は魔法でダンジョンの壁に、注意書きを刻んでおいた。
後になって、勇者一行が考古学者を連れてきたんだ。なにをしにきたのかと思ったら、壁の注意書きを解読しているらしい。
「ダンジョン攻略の鍵かもしれない」
入り口にいた魔物が考古学者を後ろから倒して、結局勇者のやつ、考古学者の入った棺桶を引きずって帰りやがった。全く、マナーのなってない奴らだ。
最初のコメントを投稿しよう!