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2日目
心療内科がダメならば、精神科に行こう。
その考えは安直だったのだろうか。
目覚めは最悪だった。半音下がった世界が元に戻っていない。唇は黒雲母のように皮が剥がれ、口はパサパサである。幸い、頭痛は良くなっていた。
しかし、心療内科は一切信用できなくなっていた。健康な体と傷付いた心ではなく、傷付いた体に傷付いた心でないと診療をしてもらえないらしい。
病気をしている人間は病人らしく、貧しい人間はみすぼらしく、といった方針なんだそうだ。私には、そう感じられた。
心療内科がダメならば、精神科に行くしかない。そう思った私は、精神科に電話をかけ、昨日のように父についてきてもらった。
結論から言うと、ここも私の心療内科論と同じであった。
話を聞く気はなく、頭ごなしに否定する。弱っている人間をいたぶるのが余程楽しいのであろう。副作用と過去の苦しみでもがく私に、救いの手は差し伸べられられなかった。
怒りを通り越して、諦めが出てきてしまう。昨日でもそうであったが、私の心が「楽しいね、楽しいね」と壊れたように繰り返すのが恐怖であった。決して楽しくはないのだ。それは防衛反応ではないかと自宅のベッドで横になっている今、思う。
薬が抜けるまで待つしかなく、抜けた後もまた苦しむのだと思う度、なぜ私の体は健康であるのかと、半音下がった世界を怨むのだ。
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