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第1章2節 家族の週末
「ほらもう、早く行くわよ」
お母さんが呼んでいる。
「もう小学校に上がったんだから一人で歩けるでしょ」
「なんだ、まだ出てこないのか?」
お父さんも僕を待っている。
「まったく……」
そうぼやくとお母さんは玄関から僕のいるリビングに向かって歩みを始めた。
「早くしないとギに遅れちゃうでしょ! こうしてる間にもオササマは待ってくださってるのよ!」
そう言いながらお母さんは、僕が命を吹き込んでいたはしご車を叩き無理矢理僕の腕を引っ張った――。
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