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僕の家族は毎週末シブに行く。
何故かなんて分からない。僕が生まれる前からお母さんとお父さんがそうしているからだ。
小学1年生、まだ一人で生きていくことのできない僕は両親に付いていくことしかできなかった。
例えそこで行われるギやオササマのお言葉なんかに興味がなくても――。
「ヤダ!」
僕は、腕を無理矢理引く母の手を振り払った。
無残にも叩かれ地面に伏しているはしご車を拾い上げ、僕は逃げた。
いつもは黙って付いて行く僕だが、今日だけは違った。
お母さんに大事なヒーローを無下に扱われたからか、それとも僕の腕を強引に引くその手に嫌な感情を抱いたからか。
僕にはわからない。
でもその日はただ、逃げたかったんだ。
玄関を開け外に出た僕には、逃避行の末の自由と未知の世界が待って――
いるようなことはなく、いともあっさりと父に拾い上げられてしまった。
そのまま車の後部座席に押し込まれシートベルトで身体の自由を奪われてしまう。
「あまり母さんを困らせるようなことはしないでくれよ」
「まったく……、シブに着いたらオササマにたっぷり説教してもらわなくちゃ」
そうぼやきながら出発の準備を進める両親に対して、僕は何も抵抗できなかった。
だから、抵抗してもらうことにした。
「私を呼ぶ声がする……」
「なに?急にどうしたの?」
「助けを求める声が……!」
「おい、どうしたんだ」
「世界中どこにでも届けてみせる、私の手を!」
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