119人が本棚に入れています
本棚に追加
「冷たい……」
ひんやりとした感触を頬に感じ取り、僕は目を覚ました。
「よかった、やっと気がついたね……」
覚醒したばかりの僕の目には安堵の笑みを浮かべるお兄さんの姿が映っていた。
どうやら頬に感じた“ひんやり”の正体はお兄さんの手だったようだ。
しばらく僕はそんな表情を浮かべるお兄さんの顔に目を奪われていたが、
ハッとして周りに目を遣ると、
僕の目前に広がっていたのは一面の青色だった――。
「目の前に色が広がる」なんて表現は可笑しいと思うかもしれないが、
僕の眼前に広がっていたそれは景色と呼ぶには似つかわしくない、
そう、まるでペンキ缶を逆さにしたような、”青一色の空間”――。
そんな光景に思考が追いつかない僕は、
自分の行動を今朝から順繰りに辿っていくことにした。
最初のコメントを投稿しよう!