序章2節 水風船

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その後、僕らはしばらく水風船遊びに夢中になった。 お互いに投げつけ合ったり、2つ同時に放り投げてみたり……。 気がついたら、僕とお兄さんは全身水浸しになっていた。 「あっ」 僕が遊び疲れて、横になって少し肩を揺らしていたところにそんなお兄さんの声が聞こえてきた。 お兄さんの視線の先に僕も目を遣る。 「あっ、もうそれで最後かぁ……」 僕がそう呟くと、お兄さんは最後の一つをサッと手に取った。 そして僕の方に向かって歩いてきたかと思うと、身を屈め、水風船を握った左手を僕の方へと差し出してきた。 僕は自分の口の端が軽く吊り上がるのを自覚しながら、右手を水風船に、もといお兄さんの左手に添えた。 「せーのっ」 お兄さんの声と共に僕らは水風船を大きな池の真ん中目掛けて放り投げた。 青色の体に色とりどりの渦巻き模様を着飾ったそれは、 僕とお兄さんの視線が向けられた空中で確かに、 弾けた。
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