Florists' war

6/13
前へ
/13ページ
次へ
「玉はん……聞ぃてくらはいよぉ」 「うんうん。それは大変だねぇ」  玉井は日本酒を片手に春菜を慰めていた。 「玉ちゃんさぁ、なんの花が好きぃ?」 「菊かなぁ」 「渋い! いいねぇ!」  春菜はついつい飲み過ぎてしまった。  玉井に辞めるべきだと伝えるはずが、会社の現状を踏まえている最中に、止まらなくなってしまった。  玉井は聞き上手だった。  すっかり二人の立場は逆転していた。 「このままじゃ、ダメらと思うんですよぉ」 「そうかそうか、春菜ちゃんは花が好きだもんね。そんな人達に扱われていたら、お花が、かわいそうだもんね」 「そう! さっすが玉ちゃん。わたし、花が好きなのよぉ。だってさー」 「だって?」  玉井は急に真剣な顔をした。しかしその表情に春菜は気付かなかった。 「一生懸命咲いてくれるじゃーん」 「うん、そうだね」玉井は微笑んだ。 「それを見てさぁ、誰かに贈りたい! っておもったりー、家に持って帰りてぇ! ってお客さん、思うんです」 「そうだね。春菜ちゃんも、そう思う?」 「もっちろん。玉ちゃん、わたし、花ってすごいと思うんだぁ」  「なんで?」また玉井は真剣な顔になった。 「だってぇ……」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加