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しかし、一向に来訪の気配はなかった。
消費しきれないので芳野が自分で食事がわりにがぶがぶ飲む。健康度は上がっているが、子牛のような食生活だ。違うのは成長しない点である。
「芳野君、来月のバイトのシフトなんだけどいつも通りでいいかな」
好奇心の塊と化しているお局の主任が、シフト表を片手に接近を試みる。芳野はハッとして顔を上げた。
「あ……その件についてご相談があります」
「卒論、間に合わない?」
「いえ、あの」
説明しようとしたところで、ポケットに入れていた携帯が震えた。芳野が明らかに動揺したので主任がどうぞと促す。芳野は一礼して携帯を取り出し、表示を確認すると、こわばった指先でメールをタップした。
「あ」
思わず声がでた。
鳴たん挿絵裏話:https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=302
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