親友は熱く語る

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「やー、うめえな、お前んとこのありふれた焼きそば!!」  ソースの絡んだ香ばしい麺を口いっぱいに頬張って、トキオは満足そうに唸った。  ここは大地の実家の祖父母が営む小さな食堂『ままや』である。野球部時代からの常連である親友トキオは、相変わらずちょっぴり無神経だ。 「サーセン! から揚げ追加で! マヨネーズ大盛!」 「はいよー!」  厨房にオーダーを通しながらも焼きそばを食べる手は止まらない。麺が生き物のように躍動し、青のりが舞う。 「これだよこれ! 真っ赤なショーガに乏しい野菜、カケラほどの肉!」 「ずいぶんガツガツ食うな」  大地はその食べっぷりに呆れている。トキオはあっという間にやきそばを平らげると、ようやく皿を置いた。ぎらついた口元のソースを手の甲で拭う。 「それがさあ、冴と同棲はじめてからあいつ、すげえ張り切って飯作ってくれるのは良いんだけどオシャレ過ぎてよ。無性にこういうガッツリしたのが食いたくなるんだ」  同棲、という言葉に自分で照れ笑いするトキオである。元野球部マネージャーの冴との付き合いは順調で、早くも一緒に住むようになっていた。 「冴は料理うまいだろ。部活のとき賄いやってたじゃねーか」
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