親友は熱く語る

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「うめえなあ! 衣が片栗粉ザクザクで、この脂っこいジャンクさがたまんねえ! あーもう、汁もいっとくか。サーセン!! ラーメン、麺抜きで!」 「はいよー!」 どんなオーダーでも気にせず引き受けるのがままやである。 「普通はみそ汁とか野菜スープじゃねえのか」 「とんこつ醤油味のラーメンの汁が飲みてえんだよ! それよりだ。お前さあ、それは芳野に言っとけよ。もし俺が怪我して黙ってたりしたら冴に泣かれるぜ? 恋人なんだろ」 「食うかしゃべるかどっちかにしろ。いいんだ、アイツ忙しそうだから」 「なんだそれ。あんだけ堂々と交際宣言してたくせにうまくいってないのか」 「いいだろ、別に」  両頬をから揚げで膨らませながらトキオが探りを入れる。否定しない大地をトキオは黙って見ていた。  沈黙の中、ラーメンの汁が届き、トキオは胸いっぱいにスープの香りを吸い込んだ。そのまま口をつけて一気に飲み干す。そして、空の丼をとん!とテーブルに置くと真面目な声音で切り出した。 「……やっぱさあ大地。男となんかやめとけよ」 「はあ?」 聞き返した大地に、トキオはしみじみと言った。 「しかも相手はあの芳野だろ。悪い奴じゃないけど、独特すぎるだろう。まともなコミュニケーションとれんのか?」 「はあぁ?」  トキオは自分の言葉に集中するあまり、大地の顔色が変わったことに気付かなかった。トキオは残りのから揚げを口に入れ、訳知り顔で咀嚼する。
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