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ようかん?! 羊羹って言ったな今?!
まさかの予感に心音が高まりだす。
「ええっ、牛乳も? あらあら牛印のいいやつ! まあ沢山……重かったでしょう。あの……確かに骨にいいですもんねえ……」
微妙なセレクトに戸惑いを隠しきれない母。
この土産物の独特なラインナップ、間違いなかった。大地は布団をぶん投げ、ズダダダダダダッ転げ落ちる勢いで階段を駆け降りた。
玄関でリックを背負いなおしていた芳野が顔を上げる。
「大地」
夢にまでみたちんまりと愛しい姿が玄関で立っている。驚きと喜びとで大地は震えた。
極太羊羹とパック入りの牛乳を抱えた母を押しのけ芳野の前に立つ。母は、最近仏頂面だった息子が乙女のように頬を紅潮させてもじもじする姿に唖然としている。
「あ……どしたんだ、いきなり?」
「事故の件を聞いた」
咄嗟に大地はギプスの手を隠そうとした。
しかし芳野の大きな目はすでに包帯にがっちりロックオンしている。
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