なんやかんやで春になり

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「そうだ、星も見られるし、もれなく俺もついてくる!」 「それはお得だにゃ」 「だろ? 決まりな! 約束したかんな!」 「やくそく……したのかにゃ」 「したした! 安心しろ、部屋探しは俺がやる。お前は余計なことはなんも考えねーで、ただ俺の指定した住所に引っ越してくればいいだけだ!」  芳野がほんのちょっとなびいた瞬間に大地は豪速で約束を取り付けた。芳野はまだポーっとしていたが、大地は夢と希望でウキウキである。 「じゃあ俺、さっそく部屋探しするからよ。お前はもう寝ろ。おやすみな」 「…………」 これで危険な煩悩から気も紛れると携帯に手を伸ばした時、大地は芳野のもの言いたげな視線に気が付いた。やはり同居の件は強引過ぎただろうか。大地は平静を装いつつも内心ひそかに動揺する。 「ど、どした」 ベッドから身を乗り出し、じーっと見ている芳野を上から覗き込む。芳野は不思議そうに瞬きをした。まったく予想外の疑問が返ってきた。 「……今日はだっこしないのか」 「へっ」 「いつも泊りのときはだっこらった」 「そっ……」 芳野の無垢な眼差しから目をそらせない。
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