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大地の喉仏が上下した。
このとき、ごきゅっと飲み込んだのは焦りなのか忍耐なのか。そんな大地の反応に、芳野はどうした言わんばかりに両手を広げた。
ぱあああっと目の前が輝くような笑顔。それはまさに天使の誘惑、きらきらのエンジェルズ・トラップ。(大地視点・恋愛補正あり)
大地は天井を仰いだ。
なんてこった!
芳野はオープン&カモンの態勢で手を広げ、抱っこ待機している。普段寄り付きもしないくせに、できない夜に限ってこれ!!神様なんなんスか!俺を試してるっスか!……と、呪いたくたる気持ちをぐっとこらえる。
さすがにこれは常の芳野ではない。神様のせいはなく、明らかにビールのアルコールのせいだ。
「んー、んっ」
「だ、だ、だ、だっこ、だけな」
声を震わせながらベッドから降り、大地は芳野に添い寝した。芳野はつつつ、と体を寄せて大地の胸に額をくっつけると目を閉じた。
んもおおおぉー!!
可愛いしかねえええよおおおぉ!!
大地は悶絶した。そして悶絶しながら完徹で夜を明かした。
芳野はスヤスヤ寝ていた。その寝顔を見つめながら大地は同居の実現を固く固く胸に誓ったのである。
あの長い冬を超えてようやく春がきた……!
耐えきった冬を回想しているうちにエレベーターのドアが開き、大地は弾む足取りで部屋に向かった。
鳴たん挿絵裏話:https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=337
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