267人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
高校生の頃、一緒に帰るようになってしばらくして、大地が来なかったことがある。細かい約束をしていたわけじゃないから、芳野は一人で帰った。
それまでずっと一人が当たり前だったくせに、その帰り道は自分でも驚くほどつまらなかった。
二人で歩く河原にさしかかって、芳野はたまらず斜面に腰を降ろした。
いつも星さえ見れば何もかも忘れられるのに、空を見上げても星が目に入ってこない。そのままじっとして星が輝きを増す頃、ようやく大地が走ってきた。
『芳野! 悪ぃ、久しぶりに野球部の連中につかまっちって』
長い手足で三段跳びでもするように駆け寄ってきた大地は、芳野を見ると嬉しそうに笑った。
大地はいつもそうだ。芳野を見つけるとこの上なく明るく笑う。そして自分もきっと、おなじぐらい気持ちが弾んでいるのだろう。
※鳴さま製作裏話
https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=251
![c5a50536-c630-4efa-8005-8e763c2c73e1](https://img.estar.jp/public/user_upload/c5a50536-c630-4efa-8005-8e763c2c73e1.jpg?width=800&format=jpg)
最初のコメントを投稿しよう!