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「いいから! 自分でやる!」
「加減、わかんねえんだろ?」
大地は湯から芳野を引き上げて浴槽のへりに座らせた。間髪をいれず指が腰から下をさぐっていく。芳野は拒絶しなかったが、近づいただけで太腿が強張り、足を閉じた。
大地はタイルに転がったローションを手に取った。芳野がたまらず顔を背ける。大地は床に膝をついた。
トロトロに濡らした手から糸のように透明な雫が垂れる。頑なだった足の間にその手をいれると、魔法のようにするりと手首まで埋まった。芳野はさらに赤面した。
「……っ」
緩んだ膝頭を捕まえて、大地は芳野の太腿を大きく開かせた。曝け出された芳野は覚悟を決めたようにぎゅっと眉根を寄せた。
探り当て、大地はぬるりと指を入れた。床に届いていた芳野のつま先が突っ張る。大地は構わず第二関節まで深めた。もぐった指は丹念に芳野の内側をなぞっていく。
「……く……」
芳野は手の甲で吐息の漏れる口元を押さえた。大地は中をいじりながら指の根本近くまで潜っていった。柔らかい粘膜が熱く濡れている。さらに内壁を擦っていると芳野の足が震えた。
「痛いか?」
「痛くはない……けど」
掠れた芳野の声は大地を煽った。指を増やす。芳野が呻いた。
大地は足の間に体を入れて甘嚙みするように内腿を舐めた。芳野の腰が引けるのを腕を巻き付け、自らに引き寄せる。そのまま中心に近づき、口に含もうとして気付いた。
「あれ、元気なくなった」
「うるさい!」
「ちょっと抱っこすっか」
大地は指を抜くと、立ち上がって芳野を抱きしめた。
顔を近づけると、連日の条件反射で芳野が目を瞑って首を傾けた。ぎこちなくも大地のキスに反応する仕草が愛おしかった。
頬にちゅっとしてから唇を塞ぐ。
「ふ……」
おずおずと芳野の腕が大地の首に回された。芳野からの抱擁はいつもどこか必死で、大地はその愛おしさに目がくらみそうだった。
「お前が部屋に忍んでくんの待てねえわ」
「え?」
大地は芳野を横抱きにかかえるとそのまま寝室に向かった。
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