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挿れたままで体中に落とされる口づけは、一つ一つが甘い刺激となって芳野を蕩けさせた。
体中の皮膚が鋭敏になっていて、電流が走ったみたいに痺れる。
芳野、ともう一度名前を囁くと、大地は腰を揺らしはじめた。ギチギチのままで抜き差しされ、芳野はもはや声にならない声であえぐばかりだった。
激しく何度も揺さぶられて喉が掠れてくる。
気持ちいいどころじゃない。苦しい。
苦しいけれどもなぜかそれでもいいと思った。
大地と出会わなければずっと一人で星を見上げていたに違いない自分が、こうして他人と体を繋げている。
それは芳野にとって革命的な事だった。
好きという感情を知り、その相手が大地で、幸福だった。
大地の動きが早くなり、お互いの息遣いが寝室の空気を揺らす。
「すげ……気持ちいい。やべえ、俺早い」
「んっ、はあ、は、早くない全然……あっ、あ」
「あ、も、無理」
大地の顔が苦し気にゆがんだ。
その切羽詰まった声に芳野のなかが反応する。大きなうねりに締め上げられ、大地はぶるっと震えて動きを止めた。
芳野はしばし荒い息で呼吸が整うのを待った。
ようやく目を開けると、大地と目が合った。長い夜が明けたみたいに世界がまぶしかった。こんな時に何を言えばいいのかわからず、胸を占めている感情をただ呟いた。
「……大地が好きだ」
芳野は腕を広げた。
言いなれない言葉は不愛想に響いたが、長い片思いを成就させた大地を泣かせるのにはじゅうぶんだった。
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