エピローグⅢ ~さすがに終わります

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 決まった尺でめいいっぱいの情報を詰め込もうとするあまり、芳野は次第に早口になる。真剣過ぎる表情は険しく、語りは突き進む暴走列車のようだ。おそらく客は引くであろう。  大地はろくに息継ぎもしない芳野を途中で制した。 「ストーップ! よくわかった。ナイスファイト! それじゃ今度は館長の指示通りに」 「それはしなくてもいいんじゃないのか」 「やらねーと比較できねえだろ」  芳野はあきらかに不満げに目線で訴えてきたが、大地が顎でしゃくると渋々口を開いた。  その途端、特訓を受けてきた芳野に何らかのスイッチが入った。 「みなさん、こんにちはー!」  芳野がにこっと笑う。まさに輝くような笑顔。こんな最高の笑顔、俺見たの初めてだ……大地は目を瞠る。推しのアイドルを目の前にしたファンのようにドギマギした。 「こっ、こんにちは」 「それでは夏の空の説明をしますね」  芳野はきらきらした眼差しで大地に話しかける。大地は思わずこくこくと頷いた。慣れない明るさに正視もままならない。 「僕の指さす方向を見てください。東側の一番明るい星、これがベガです。そしてそのまま目線を右の下の方に移すと……見つけましたか? これがアルタイル。さらに左の星がデネブです。この三つを線でつなぐと……はい! 大きな三角形になりまーす」  芳野がおまじないのように指先をくるりと回す。  でた!お茶目! 大地は導入部ですでにノックアウト寸前だった。
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