267人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
「や、わかる? わかっちゃう? そうなんだよ、冴、いつまで待たせんのよって。もうさー、見守ってくれてた連中がこりゃ祝杯だって盛り上がっちゃってさー!」
「そうか、じゃ、切るな。俺それどこじゃねえんだ」
「どうもさ、けっこう前からもう、俺の方が気になってたらしくってさー」
むふふふふふ、と堪え切れない笑いが漏れる。
「ま、相談っていうのも、結局お前をダシにして俺と会いたかっただけみたいでさ。なんか悪いな、その、色々。おかげで俺すげえ幸せだから、お礼言っとこうと思って」
「いい、いらん。そんなもんいい」
「本当は夜のうちに報告しようと思ったんだけど、ほらそっちもな? だろ?」
そこでくくく、っと下世話な含み笑いが入る。
「だから悪いなーと思って、後で報告しようって思ってたんだけどさ」
「俺のことはいいから早く帰って寝ろ」
まったく無駄な心遣いである。
聞いていられず、大地は携帯を耳から離した。
その時、引き留めるようにビビッとトキオから画像が届いた。どうせ酔っ払った友人一同のバカ騒ぎの現場かと思いきや、絶対に見間違うことのない大きなリックと撫で肩の背中が映ってる。
最初のコメントを投稿しよう!