野良猫はいつもなまいき

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   芳野はぼそっと言った。  言いなれない一言で心臓まで痛くなった。大地といると心身に負担がかかりすぎる、と痛切に思った。  答えの代わりに大地の抱きしめる力がもっと強くなる。  温かった。  体温て凄いな、と芳野はその腕の中でぬくもりながら思った。眩暈も迷いも全部受け止めて、ずっと強張っていた指先にまで血が通い始める。    こわごわと目を開けると、すぐそこに大地の顔があった。  心配そうに閉じた目のまつ毛が震えてる。いつも能天気な笑顔ばかり見ているから、芳野は驚いてじっと見つめてしまう。  芳野の視線に気づいた大地は目を開けた。 「なあ、抱っこは嫌じゃねえの? 立てるまでこうしてたいけど、やっぱびびってる?」 「……別に大丈夫」 ぶっきらぼうに芳野は答えた。その答えを肯定するみたいに大地がもう一度頭を撫でる。 「そんならもっかいキスしてもいいか」
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