はじめてのつぎの日

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6e0351c6-c05d-4965-8050-d300c44d786b    高校時代、芳野凛といえば年がら年中空ばかり見てる天文馬鹿で、万事において人間より星を優先する変人で有名だった。  芳野の頭の中は日没の時刻や星座の名前、星の種類、月の満ち欠け、流星群の出現時期まで星に関するあれこれで埋め尽くされていて、人類である大地が入り込む隙はほぼ存在しない。  駆け引きが苦手な大地は、自分の気持ちを自覚してからは直球で芳野に好意を伝えていた。性別のハードルはあれど、好きになったものはしょうがない。その点において、大地は覚悟を決めるのが早かった。  しかし芳野の反応は実に微妙だった。  抱きしめても拒否はしない。だけど、キスしようとすると避ける。このままで終わりたくないと懇願したら、困った顔をするくせに会うのは構わないという。
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