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「は、はい!」
うわあ芳野のマジ顔、ちょっと惚れる。
未だにろくに目を合わせたことがないため、その強い眼差しの威力で素直に返事をしてしまう。
大地より背の低い芳野は背伸びして精一杯首を伸ばさないと届かない。丸みをおびた肩やくぼんだ鎖骨が艶めかしくて、大地はぼうっとしてきた。
「芳野……」
もう声が掠れてる。余裕がないのがバレバレだった。
芳野は大地の両腕をがっちり掴み直した。これはアレだ。抱きしめて欲しいんだなと思いきや、固定されすぎて腕が回せない。違和感を感じたところで芳野はいきなり、てやっ!と大地をベッドに押し倒した。
全力の試みだったらしくひっくり返った大地を前に、ぜぃはぁと呼吸を整えている。天地が反転した大地はあおむけのまま芳野を見上げた。芳野の手が大地の膝を掴む。
膝。…膝?!
そこに至ってようやく大地は大きな食い違いを確信した。
「ちょ、俺が下? えっ?」
「申し訳ないが、経験がないぶんイメージを頼りに頑張る。初めての時は苦痛を伴うらしいが、こらえてくれ」
大地の顔が引きつった。
「待て! こらえんのはお前のほうだろ」
「違うな。どう考えても俺がするほうだ」
芳野は当然とばかりに言う。
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