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大地は芳野にのしかかり首筋に顔を埋めた。青く膨らんだ血管を撫で、肩の線に沿ってついばみ、鎖骨のくぼみにキスを落とす。
「ふ……」
芳野から吐息が漏れる。全部に自分の印をつけたかった。どこに逃げても、離れていても忘れないように。
こんな激しい衝動は始めてだった。大地はのぼせ上った頭で芳野の腰に腕を回した。堅いジーンズ越しに肉を掴む。ズンと自分のが熱くなる。早く膝を割って奥の奥まで重ね合いたい。
俺、好きになると独占欲やべーかも。
ちらりとかすめたが、芳野の柔肌をまさぐっていると理性が機能しなくなるらしい。ウエストのボタンに手をかけると、慌てて芳野が引きはがした。
「なんで? ダメ? 芳野は自分でしねーの?」
「するか! それに顔が近すぎだ!」
芳野は羞恥に負けて腕で顔を隠した。だがそのぶん、首から下の体は無防備になった。なだらか胸の形も、とがった先の淡い色も。
すげぇ。
大地はそっと芳野の体を撫でた。きっと芳野は星のこと以外、放置でここまで生きてきたのだ。だからこの体も、気持ちも、子供みたいに途上なままだ。
「芳野」
キスをしながら動かしていた手は芳野の胸に触れた。たったそれだけの事なのに芳野はびくんと反応して大きく喉が上下した。
「どした。良い?」
「違う、そうじゃ……」
「けど他と違う」
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