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芳野の指が恐る恐る大地の頬に触れた。芳野も見えないハードルをたくさん超えているのだろう。
「……わかった、言わない」
「よし!」
大地は思い切りの笑顔になって芳野をぎゅうと抱きしめた。
「苦しい!」
「悪ぃ、嬉しくってよ」
大地は喜色満面になり、いそいそとズボンを脱いだ。事のはじめに早く脱げと怒られたため、まずは自分からという潔さである。緊張と照れで大地は多弁になった。
「あのさ、芳野さ、別にしたからってすげえ何かが変わる訳じゃないと思うんだ。だから何も心配すんな。俺は芳野が好きで、してもしなくてもそれは同じだけど、やっぱ男だから俺のものにしたいって気持ちは譲れねえんだ」
ずりっと下着を降ろし、芳野に向き直る。芳野は肘をついて体を起こし目の当たりにした。
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