はじまりはじまり

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 芳野は大きく目を見開き、みるみる青ざめた。  のぼせている大地は、飛びつくようにして芳野にダイブする。しかし飛んだ瞬間、芳野も真横に飛びのいていた。  スカッと空振りしてベッドに突っ込んだ大地は素っ頓狂な声を上げる。 「へっ? 何、なんで?」 「む」 「む?」 「……む り」 「え、どうした」 「無理無理無理無理無理無理無理無理_______!!」 芳野は毛布を巻き付けながらベッドの端に逃げ込んだ。超高速でふるふると首を横に振る。人の首ってこんなに機敏に拒絶を表明できるんだな……などと感心している場合ではない。大地は両手を広げて芳野を捕獲にかかる。 「おら! 無理って言わないって言ったばっかだろ! 何なんだよ」 「伸縮率の問題だ! 基準値が設定外だ!」 「はぁ? お前まだそんなこと言って、」  大地はにじり寄った。しかし芳野はきっちり毛布を引き上げ、断固拒否の構えで言い返した。 「いくら何でも許容限界がある! なんでそんなに巨大に育ったんだ、さっきの物理的例えを思い出せ! 無理だ!!」 「え……いやまあ、だって今、最高に俺、盛り上がってるからさ……」 大地はてへへ、と照れ笑いした。しかし芳野は身を固くして体育座りになり、全力で首を横に振る。
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