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「もうちょっと倍率を下げられないのか」
「無理言ってんはお前の方だろ! そんなに自在に伸びたり縮んだりできるか!」
「大きくなれるんなら小さくもなれるだろう! ほどよいサイズで止めろ」
「こういうのはMAXかグッタリかしかねえんだよ! あきらめろ!」
「人に無理強いしておきながら自分は努力放棄とはどういう理屈だ!」
努力、と言われ大地は精一杯の譲歩を試みた。
「あ……じゃ、口で試してみるってのは……」
ひとまずの妥協案だが芳野はさらに引いた。
「それも無理だ! そんな大口を開けたことなんかない!」
「嘘つけ! お前、あのでけー羊羹がぶがぶ食ってたろ!」
大地は天文台で羊羹を一本食いする芳野をチラ見して(エッロ……)と生唾を飲んでいたのだ。しかし芳野は憤慨して突き放すように言った。
「俺の好物とお前のソレを一緒にするな!」
威勢はいいが芳野の顔色が変わっている。大地はパン!と両手を合わせて頭を下げた。この難所を超えられるなら土下座なと安いものである。
「頼む! せっかくここまできたんだしさ、とりあえず試してみよう。なっ? なっ?!」
「とりあえず? どうするつもりだ」
「心配すんな、まず先っぽだけ、なっ、なっ?」
「嘘だ、そんなはずない!」
※鳴たん裏話
https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=259
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