Talk to me about milk.

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 トレーナーの中の手は、もう前に回って胸に触れている。指先でじっくりと尖りのまわりをなぞられていると、ぞくぞくするような痺れが走った。芳野は困惑とともに赤面する。 「慣れねえ?」  刺激を与えるたびに桜色に染まっていく耳を、大地が甘嚙みした。くすぐったいだけではない波打つ感覚に、芳野はますます体を固くする。 「そろそろ慣れねーとなぁ。俺もうこんなんだし」  大地が芳野の手を掴んで、自分の下肢に導いた。芳野は目をみひらく。いけないものを触ってしまったように慌てて手をひっこめた。その手首をすかさず大地が捕まえて、そのまま一気に芳野を押し倒した。 「待て待て待て!」 「大丈夫大丈夫」  大地は芳野の腰を抱えた。がっつりと筋肉質の体が、覆いかぶさって芳野の上に重なる。キスをされて背中が反った芳野を床に押さえて、腰骨の内側に手が滑り込んだ。下着の中で大地の指が動く。芳野が大きく息を吸い込む。 「まだ……っ、今日は」 咄嗟に顔を背けた芳野を大地は優しく撫でた。真っ赤になった頬に唇をつける。 「んー……駄目? 怖い?」 芳野は激しく頷いた。 「そっかー……怖いんじゃしょうがねえな」 「すまない、だが」  いつもこんな風にこれからのところで止まってしまう。  一度は覚悟を決めたはずなのに、どうしてもいざとなると恐怖心に勝てない。せめてもうちょっと自分の体が大きければ、もしくは大地がもう少し小さければと思うが、150%の衝撃が消しきれない。  もはや定番の流れとなるこの成り行きに、大地はくじけることなく耳元で囁いた。 「じゃあさ、今日はちょっとだけ芳野の、触ってもいいか?」 「え」
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