はじめてのつぎの日

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「なぜ脱ぐ」 「え?」  芳野が冷ややかに見返している。 9901ca89-b826-4f9c-b70d-5ec6f9a551fc 「さっきから何をごちゃごちゃ言ってるんだ。昨日は大規模な流星群が出現する夜で、雲もなく観測にはうってつけの夜だった。  この町は実に星がよく見えるから、俺はベストコンディションで目視観測ができるってずっと心待ちにしていたんだ!」  芳野はててててっと自分のリュックに近づくと、その発言を裏付けるがごとく中から星座早見盤や方位磁石、双眼鏡にカメラ、折り畳みの簡易三脚まで取り出した。 「なんだよそれ、俺と会うために来たんじゃねえの?」 「それもある」 「それもってなんだ。これじゃむしろ俺がオマケじゃねーか!」  ショックのあまり大地が喚くと、芳野はむっつり黙って一連の荷物をリック戻して背負った。リックの紐が細い撫で肩に食い込んでいる。 「というわけで俺は観測に行ってくる」 「昼間だぞ!」 「昼間でも星が見えないことはない。こっちにきたからにはせめて日中観測ぐらいしなくては」 「いやよく見ろよ、普通に曇ってっけど?!」 「その雲の隙間から星が見えるからこそ貴重なんだ」 大地の反論を強引に論破して、芳野は玄関に向かった。 ※鳴さま挿絵裏話 https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=250
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