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案の定だった。大地がドアにもたれたまま片手を上げる。芳野は息切れを隠すために大きく溜め息をついた。
「暇なのか? 毎週のように来てるじゃないか」
「そうだっけか」
大地はすっとぼけて頭をかくが、体はもう鍵が開くのを待っている。
芳野がドアを開けると当たり前のように後ろについてきた。芳野が靴を脱いで上がろうとしたその襟首をつまんで振り向かせる。
「ちょ、」
「長えんだよ一週間」
大地は芳野を抱きしめた。芳野は棒立ちのまま大地の心音を聞く。ぎゅっとされたらぎゅっと返すべきだろうかと思いはするものの、芳野はいつになっても慣れないまま大地の腕の中にいる。
イラスト裏話:https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=287
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