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大地が週末に通うようになって数か月。
季節はすっかり真冬だった。
スポッとしてペタンを繰り返しながら、芳野は邪念にとらわれている。最近、無表情だった芳野の顔が、やけに思いつめていたり、突然赤くなったりするので教務課の職員たちは心配していた。
『恋かな?』(yes!)『恋じゃない?』(yes!!)
可愛い子猫ちゃんが、ある日突然発情するように、芳野に恋のシーズンがやってきたのだろうか。オバちゃんたちにとってその話題は絶好のお楽しみだった。
そんな事とはつゆ知らず、芳野は懊悩している。
牛乳が全く効かない……!
大地との体格差を埋めようと、芳野はせっせと牛の乳のお世話になっている。だが、さすがにすでに21歳。その体に劇的な変化は見られなかった。
このままでは間に合わない。他の対策を講じるか、死闘を覚悟するしかないのか。
芳野は焦っていた。大地は来るたびにじわじわと接触のハードルを上げてくる。ダメだ嫌だと言いながら、もうずいぶん色んなことをされてしまった。
「……」
芳野の顔が赤く染まる。
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