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【Tour1】春の新定番!海鮮浜焼き食べ放題と東京ドイツ村25万株の芝桜
四月三週目の土曜日、朝九時。花見のピークも終わり、アスファルトの水溜りには桜の花弁が浮かぶ。新宿駅西口、明治安田生命ビル横に一際目立つ黄色い大型バスが停車している。
「里沙遅いなー。もうバス出発しそうなのに!」
「安定の遅刻だねー。……待って、葵ちゃん! 今、里沙からラインが来た!」
『ごめんなさい!さっき新宿駅に着いて、ダッシュなう』
「出たよ!里沙の遅刻癖は昔から直らないねー。すみません!お姉さん。三人で予約した水谷と申します。一人友人が遅れていて、あと少しだけ待ってもらえませんか?」
黄色い制服を着た女性は嫌な顔一つせずに愛想良く答えた。
「水谷様、いつもご利用ありがとうございます。かしこまりました。運転手にも伝えておきますね。」
「本当にすみません……」
葵は申し訳なさそうに謝罪した。
「あ、葵ちゃん!里沙来たよ!」
すごい形相で一人の女性が横断歩道を髪を乱しながら走ってくる。
「ハァハァ…っ!!肺が死ぬっ!!……葵ちゃん、玲奈様〜。これはギリギリセーフ!?」
「もう里沙遅い! セーフのわけないでしょ! 早く乗るよ!」
三人はバツの悪そうな顔をして見せて、他の乗客を横目にバスの一番後ろの一列並んだ場所、いつもの席に三人並んで座った。
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