□番外編002/Happy birthday to Kokuyou.

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□番外編002/Happy birthday to Kokuyou.

□番外編002/Happy birthday to Kokuyou. ──────────────────── 「はぁ?有給?」 「そう、有給」 ある日の20時過ぎ、仕事を終えて自宅となる賃貸物件に戻ると、ルームシェアしている同僚が笑顔で書類を寄越して来た。陽の光みたいにきらきらとする鮮やかなオレンジ髪に似合う笑顔を振りまきながら、僕にA5サイズの書類を押し付ける。 「何で有給?」 「俺が取りたかったから。上には俺が話を通してあるし、黒曜さんと俺の仕事もある程度調整してある。…だからこれ、書いて欲しい」 真剣ではあるがどこか楽しそうな表情の同僚に、僕はそれを受け取る事しか出来なかった。 「まぁいいよ。ボールペン、取って来る」 ペン立てからボールペンを1本手に取ると書類に必要事項を記入して、それを同僚に返した。とても嬉しそうに書類を受け取ると、自分の分が挟まれたクリアファイルに僕の分も挟み、大事に仕事へ持って行くバッグにクリアファイルを収めた。 ──────────────────── 有給当日。 いつもの軍靴にジーンズのパンツ。Tシャツこそ代わり映えのないそれこそいつものVネック。 ただいつもと違う事と言えば、ライダースジャケットを着せられた事だろう。イーヴルはイーヴルで、ライダースジャケットよりも軽そうな上着を着ていた。テキスタイルウェアと言っていた。ぽいぽい、とグローブも寄越された。 「黒曜さん、タンデムした事はある?」 「いや、そもそもバイクは整備するだけ。それよりも免許、持っているんだ」 「まぁね。アオイはないと思うけど、リアンもアイゼンも俺も、一緒に取得させられたからね。あれば任務移動の時に重宝するからさ」 「…へぇ…」 「黒曜さん」 イーヴルが指を指しながらひとつずつ簡潔に説明してくれる。 「足を掛ける場所はここ。グローブで持ちにくいけど掴む所はここ。俺にしがみつくのはやらないでね。危ないから。あと、黒曜さんは運ばれる荷物の気分で。曲がる時に体重移動はしないで、無になっていて。そうじゃないと転倒するから」 最後にイーヴルはゴーグルを装着してくれた。髪を整え、僕を後ろに乗せるとバイクのエンジンを始動させる。ドルン、と大型バイク特有の低い排気音を響かせながら少し待つ。イーヴルはこの音と振動を楽しんでいるようだ。 「さぁ、行こう」 その言葉を皮切りに、僕はどこかへと連れて行かれた。 ─────────────
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