□番外編002/Happy birthday to Kokuyou.

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──誕生日を知らない僕の誕生日を覚えていてくれて、それを祝ってくれてありがとう。 1番最初の感謝はまずそこだ。初めての誕生日、それを君に祝って貰えて本当に嬉しいんだ。 ──僕と出会ってくれた事を喜んでくれて、ありがとう。 僕こそ君に出会えて本当に良かった。シンハラとは違う形で、僕は君に引き上げられたんだ。 ──背中を守ってくれて、ありがとう。 人を撃てるかどうかなんて関係ないんだ。いつだって傍にいてくれる安心感が嬉しいんだ。 ──たくさんの事を教えてくれて、ありがとう。 僕がイーヴルに教えた事なんて技術的な事ばかりだ。でもイーヴルは僕に何を教えてくれた?イーヴルからは技術的な事は教わっていない。人と関わり合う事、人の温かさを教えて貰い、精神的な安らぎをたくさん与えて貰った。 ──人を好きになる事を教えてくれて、ありがとう。 僕は誰かを好きになるとは思っていなかった。男なんて嫌いだ。ずっとそう思っていたから。そのくせ男と対等にいたくて性別を黙ったまま6隊に来た。みんな受け入れてくれたけど、騙しているようで居心地は悪かった。 イーヴルは常に傍にいてくれて、僕を理解して上手く扱ってくれた。だからこそ、僕はイーヴルに心を開けたのだと思う。そこからは崩れるかのように。 ずっと感覚が麻痺していたが、僕は生まれて来られて本当に良かったと思える。 ──僕を産んでくれてありがとう。たくさんの出会いをありがとう。 目の前に出されたシチューにスプーンを入れる。野菜がごろごろ入ったシチューは作り手同様、とても温かい。高価なプレゼントなど要らない。この平穏な今を与えて貰えている事がとても素敵なプレゼントだ。 ────────────────── Happy birthday to Kokuyou. ────────────────── 2021/10/05
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