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「そう言えば黒曜さん、いつ北方でシチューを食べたの?」
「あー、確か6隊招集の1年前…かな?真冬に北方から要請されて、主任と2人で通信設備のメンテナンスに行った時」
「んんー?その頃だと、俺もまだ北方駐屯地にいたね。…真冬、通信設備…。もしかして雪で大規模停電、起きなかった?」
「起きた。だから真っ暗の中で手元のライトだけでメンテナンス作業した」
「あー、あの時か。そう言えば西方からエンジニアが来るからって、ネットワーク通信の下地作りをやったよ」
「あれ、イーヴルがやってくれたのか。たった数日でやってくれたから、誰がやってくれたのかと思っていたよ」
「俺、エンジニアではないけれど、電気工事関連の資格を持っているから上官に頼まれて整備したんだ」
「折角整備してくれたのに、結局停電で活かせなかったね」
「…じゃああの時、俺、黒曜さんとニアミスしていたんだな」
「そうなのか?」
「コーヒーと毛布、置いてあっただろ?」
「あぁ、あった。いつの間にか置いてあって、作業終わって毛布にくるまってコーヒー飲んだら寝ちゃった。起きたらベッドだったから驚いた」
「あれ置いたの、俺なんだ。停電して寒いからと思って。声掛けたけど集中していて気付いて貰えなかった。朝になったら床で寝てるんだもの。凍死するよ」
「もしかして運んでくれたの、イーヴル?」
「軽そうな方を運んだから、俺が運んだのは多分黒曜さん。知らなかったとは言え、その頃から縁があったんだな」
「今更聞くと変な感じがする」
「…ねぇ黒曜さん」
「何?」
「父さんが手掛けた機材を丁寧にメンテナンスしてくれて、ありがとう。図面に父さんの名前が記入されていて、それを見て…父さんに会えた気がした。父さんはいなくても、父さんが遺したものがちゃんとあり、大事にして貰えた事が嬉しかった」
「今ここにいるのも、きっとイーヴルのお父さんが繋いだんだ。イーヴルのお父さん、アインス主任、僕、イーヴル…ってね。縁って凄いな」
「黒曜さん、これからも宜しく」
「こちらこそ、宜しく」
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