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◆規格外001/透ける漆黒、透けないオレンジ
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──何だか暑い…。
もう肌寒くて掛け布団が心地良い時期だと言うのに、その日は何故か暑く感じた。
──身体が重い。
半俯せの状態で布団に潜り込んでいた黒曜は、頬に当たるタオルの感触に少しずつ覚醒して行く。
「…んー…」
もぞり、と動こうとするが上手く動けない。何かが黒曜の背中に乗せられている様だ。身体が重たいのは体調不良ではなく、物理的に重たいと言う事がわかった。
「…イーヴル…?」
自分のすぐ隣で同僚が静かな寝息を立てて眠っていた。彼の腕が黒曜の背中に乗っかっている。なまじっけ黒曜よりもしっかりとした男の腕だ。重たくない訳がない。
身をよじり、何とかイーヴルの腕を下ろし状況を確認する。
「…あぁー…」
この時点で自分が何も身に付けていない事に気付いた。そしてイーヴルも何も身に付けていない。状況として考えられる事柄はひとつだけだった。
自分では確認出来ないが、お世辞にも強固とは言えない胸部装甲には幾つもの紅い痕跡が付けられているのだろう。それらは集中して鼓動を告げる箇所に。
思い出してしまい思わず紅潮する。イーヴルを殴りたい衝動に駆られるがそれは我慢した。代わりに彼の特徴とも言える鮮やかな色の髪に触れる。自分とはまた違う、柔らかいその触感が良い。
──とりあえず風呂にお湯を張るか…。イーヴルが起きたら洗濯と、郊外のショッピングモールへ。確かそんな話をした気がする。
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