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女子達が九条に構うのが気に入らなかった。九条の事何も知らないくせに。
「だって、西と違って九条君は王子様キャラじゃん!ねー?」
一人の女子がそんなことを言えば、彼女らは首を横に倒し同調する。女子という生き物はよく分からない。
「はぁ…じゃあさ、もう呼び捨てでいいからさ、その”西と違って”っていうのやめない?俺、可哀そうじゃない??」
「「「全然っ!!」」」
LGBTという言葉をよく聞くようになったとは言え、カミングアウトしている人は少なく、まだまだ奇異な目で見られる事が多い。周りにも九条にも自分がゲイと言うことを伝えていない今、傍から見たら俺なんて全然似合わないと言われているようで、心をぐさりと抉られた。
「…俺ってかわいそ…」
周りには聞こえない声で呟いた。俺たちのやり取りを九条が寂しそうな眼差しで見ていたことは知らない。
「西、帰ろうか」
また別の日サークル活動を終え、帰る身支度をしている時だった。
「…九条君っていつも西と帰ってるけど二人って家近いの?…」
王子様キャラ云々言い出した、噂好きそうな女子達が九条に群がる。
頭が一つも二つも小さな彼女たちを見ていると、やっぱり自分なんかよりも隣には可愛らしい女性の方が似合うのではないか、とそんな事ばかり考えてしまう。
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